顔が視認出来る距離迄近づき
確認したところ、二十代前半に
見える半泣き状態の女性が、
車に乗っていたと思われる同年代の
小太りの男性(デブ)と、
如何にもホスト風な男性(チャラ男)
二人組と言い争っていた。
聞こえてくる会話から三人は
知り合いらしく、何だよ痴情のもつれかよ
と思いつつも、目の前で繰り広げられる
修羅場を見守るメンバー達。
緊張もほぐれ軽い疲労感の中、
折角だからとEが持ってきていた
ビデオを回し始め
B
「こらこら駄目だろー」
E
「えー別にいいじゃーんw」
ビデオを構えながらおちゃらけるEと、
それを軽く窘めるB。
口論は続き最初はへらへらしていた
男達も、女性からの罵倒に対し段々と
言葉が荒く成りだした時、
Aが三人の動向に注視しながらも
メンバーに集まるよう指示し
A
「あんまり関わりたくないけれど、
そろそろ出て行って止めようと思う」
A
「まあまず無いとは思うが、
逆ギレして襲いかかってくるような
事があったら、各自、出来るだけ
穏便に制圧するように」
最後に凶器扱いされない様、
銃や武器になりそうな装備を外すよう
指示し、制圧方法の打ち合わせを
していた時、深夜の山奥に甲高い
打撃音が響く。
ついに暴力沙汰か?
と思ったメンバー達が次の瞬間見たものは、
ビンタをした姿勢のまま肩で息をしている
女性と、頬を抑えワンボックスカーに
もたれ掛かるチャラ男だった。
メンバー達に緊張が走る中、
ビンタをかました女性は男達を尻目に、
何故か県道からフィールドへ向かう
私道へと入り、入口にある立ち入り禁止
と書かれた看板付の虎ロープを跨ぎ、
砂利道を奥へと進み出した。
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