私自身、事故の瞬間が目に焼き付いて
まだショックを引きずっていたけど
妹はもっとショックだったみたいで
一言も口を利かずごはんも喉を通らない
状態。
両親も心配してたけど、
当時はPTSDなんて言葉もなかった時代だったし
精神科には大きな偏見もあった時代だったから
病院に連れて行くという選択肢もなかった。
ところが夜中に妹が手が付けられない
ぐらいワンワン泣き出して
みんなオロオロしていたら、
突然衝撃的なことを言いだした。
妹はおばあちゃんを撥ねた原付を
運転していた人を見ていたんだ。
犯人は近所の奥さんで、
そこの子供と妹は仲良しだった。
事件の少し前に
「ママが買った原付」
を見せてもらったらしくて
その原付の
「らったった」
という名称が面白くて覚えていたらしい。
原付がおばあちゃんを撥ねて行った瞬間に
「あ、おばちゃんだ!」
って分かったらしいんだ。
その頃はメット着用義務はなくて、
ほとんどの人がかぶってなかったし。
でもその後、救急車やお巡りさんがきて
大騒ぎになって、見たままを証言したら、
友達のママがケーサツに連れていかれて
しまう!
と思って言えなかったみたい。
それを聞いた両親もその日はずいぶん
悩んだと後に聞いた。
もちろん直ぐ警察に届けるべきなんだけど、
同じ町内で被害者と加害者が出たわけで
しかも昔から付き合いのある家庭同士だし。
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