「車いすか、因果応報だな。
俺のことを覚えているか?」
「名前は覚えていないが、
教え子だったことはわかる」
「俺はあんたから受けた仕打ちは
一生忘れないよ」
「何言っているの?」
「世が世なら教育委員会経由で
教員資格はく奪されることをしていた
ことも覚えていないのか?」
そこで息子が口をはさむ
「もうやめてください、
母に代わって謝ります。」
「お前とは話していない。
謝るならこいつだろう。違うのか?
たとえ謝っても許される話じゃない
ことはお前もわかるだだろう。」
周囲の客もおとなしくなっているのが
わかった。
「運動会で隣のクラスのE藤が怪我した
時に、俺がハンニンだってみんなの前で
言ったよな。俺は無関係なのに」
「だから覚えていないって」
「校長先生とその話合いになった事件
じゃないか、あんたに席を外させて、
ハンニンは俺じゃないって校長先生は
言ってくれた話だぞ」
「大昔の話でしょ」
「買い物途中の俺の母親に俺がハンニン
だって白状したってデマまで言ったよな」
「そんなことしてないでしょ」
「あんたにとって軽い気持ちなんだろう
けれど、俺にとっては大問題だ」
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