今回の審査では、日本国政府は
2017年8月に報告書を国連に
提出しており
(ただし、報告書公開は10月)、
各NGOもそれぞれの問題意識を
記した文書をOHCHRに提出していた。
民団人権擁護委員会は、UPR審査
の事前準備のための情報提供として、
民族的マイノリティの権利の否定、
人種差別禁止法の不在、
ヘイトスピーチ・ヘイトクライム、
永住外国人の地方参政権の欠如、
公務就任権の制限などの在日コリアン
が直面する問題に関する報告書を
2017年3月にOHCHRに提出したほか 、
民団人権擁護委員会委員をジュネーヴ
現地に派遣する等して、今回のUPR
審査に関心を寄せてきた。
2.2017年11月14日の日本政府に
対する審査においては、人種差別を含む
包括的な差別禁止法の制定
(オランダ、ノルウェー、ドイツ等)や、
ヘイトスピーチに対するさらなる対策の
実施
(オーストラリア、メキシコ、韓国等)
について多くの勧告が出された 。
この点、日本政府は、第3回報告書に
おいて、人種差別に関しては、
「全ての形態の直接的・間接的差別の
禁止(勧告 35、64)に関し、我か゛国て゛
は公共性の高い分野等て゛は関係法令に
より広く差別の禁止か゛規定されている。
憲法第 14 条第 1 項において、不合理な
差別を禁止している」
とし(パラグラフ51)、ヘイトスピーチに
関しては、2016 年 6 月に施行された
「本邦外出身者に対する不当な差別的言動
の解消に向けた取組の推進に関する法律」
(以下、ヘイトスピーチ解消法)
により対策が取られているとする
(パラグラフ55)。
しかしながら、今年3月に発表された
法務省の
「外国人住民調査報告書」
に見られるように、日本における
外国人住民は、今なお入居差別・就職
差別などに苦しんでいる。
また、ヘイトスピーチ解消法施行後、
ヘイトデモの回数、参加者数は減少する
等一定の効果は出ているものの、
インターネット上のヘイトスピーチは
依然として猖獗を極めている。
次ページへ続きます