その後、推理作家協会の訪韓団で、
POSCOを訪れる機会ができた。
迎賓館のような豪華なゲストハウスに泊めてもらい、
工場も見学したのだが、
すべて自社開発したかのような説明に終始し、
日本側の協力に関しては、一言も言及されなかった。
その際、あのときT氏が口にした言葉が、
真実だと、実感した。
こうした際、日本人なら提携相手先の協力に
感謝するだろう。
そのほうが、単に相手を立てるばかりでなく、
より自分を立派に見せることにつながるのだが、
韓国人は、そういう大人の態度が取れないのである。
その後、新日鉄と、POSCOのあいだで、
係争が発生する。
新日鉄を辞めた技術者が、
方向性電磁鋼板という最新技術を、
POSCO側に売ったというのだが、
この件では、アメリカも絡んで、
複雑な展開に至っている。
現・新日鉄住金は、POSCOの
大株主でもあるわけで、告訴に至ったのは、
よほど肚に据えかねる事情があったからなのだろう。
総じて、韓国の企業は、自意識過剰と言うか、
自社製品を誇大に言いたてるきらいがあるが、
日本の技術がからんでいるとなると、
なんとかして隠そうとする。
他の多くの分野でも知られる
〝日本隠し〟
という性向のためだが、事実を枉(ま)げても、
あたかも全てを、自社開発したように、
捏造するから問題なのである。
また、過去にはこんなこともあった。。
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