“韓国での出国禁止と検察取り調べの体験者”
としての縁もあり、筆者は出発前から奥氏に
話を聞いてきた。
数日前の国際電話では
「辛い食べ物で最近少し腹を下したが健康はおおむね良好」
と話していた。
奥氏は検察の呼び出しがあれば出頭するが、
それ以外は1泊約5千円のホテルで暮らす。
宿の経営者やコックらに日本風のカレーライスを
振る舞って大受けするなど“日韓交流”にも
一役買っている。
ただ、カレーに舌鼓を打つ韓国人も
平成27年12月、安倍晋三首相が元慰安婦に
対する謝罪を表明した上で日本政府が10億円を
拠出し、慰安婦問題の解決へ向け日韓両政府が、
最終的かつ不可逆的に合意したことや、
奥氏がなぜ碑文を変更し、捜査を受けているか
について、まったく知らなかったという。
ほとんどの韓国人は慰安婦問題について
日本の責任を追及する材料としてのみ、
意味を見いだす。
日本側がどのような努力をしているか、
韓国側にどのような義務や問題点があるかには
関心がない。
そもそもメディアも政府もそんな発展的な
観点でものを見たり、伝えたりすることに
消極的だからだが、奥氏の体験もそれを裏打ち
するものだろう。
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