同盟国らしい対応を
「石器時代」ですか。
鈴置:「9・11」の時ほどではありませんが、
米国はいらだちを強めています。
北朝鮮は
「米国が核と制裁を振り回せば、
本土が想像もつかぬ火海になる」(8月6日)、
「グアムを包囲射撃する作戦計画を慎重に検討」
(8月9日)などと威嚇しました。
「その直後に韓国が中立を宣言すれば、
米国はどう思うか」
と魏聖洛教授は国民に問いかけたのです。
韓国はTHAADの追加配備も渋りました。
そんな無神経さが米国の
「韓国切り捨て」につながりかねないと
魏聖洛教授は警告したうえ、とるべき道を説きます。
韓国の外交専門家からも大統領の
「不用意な発言」を懸念する声があがりました。
外交官出身の魏聖洛(ウィ・ソンラク)
ソウル大学客員教授が中央日報に
「類を見ない危機の中で対米外交を考える」
(8月23日、日本語版)を寄稿しました。
要点をまとめます。
・相互防衛条約に従って韓国の対米支援の義務が
発動される可能性がある。米国内で対韓防衛の
見直しや、半島をめぐる新たな安保構図の議論を
あおる可能性もある。
・米国が直面した脅威に積極的に共感し、
同盟らしい対応を取る準備を継続する必要がある。
・これは決定的な瞬間に米国を説得する資産になる。
その後、静かな外交で米国に節制された対応を
呼びかけるのが現実的だ。
説得力がありますね。
鈴置:そう思います。今、韓国が何と言おうと
米国の強腰を制止するのは難しい。
それどころか「中立宣言」は戦争を
呼びかねません。
それにより北朝鮮に対する外交的な圧力が
弱まれば、米国が軍事的な手段を選ぶ可能性が
増すからです。
米韓関係も悪化し、同盟打ち切りも
あり得ます。
文在寅大統領の中立宣言は韓国の国益を
大きく損ないかねません。
北朝鮮の顔色を見た?
なぜ、そんな演説をしたのでしょう。
鈴置:この謎を解くカギがあります。
北朝鮮の顔色を見ながら「中立」を
宣言したとすると、すべてつじつまが合うのです。
次ページに続きます。