日本「次官級、夏休み返上でいい」
ただ、実際には「着実」だったとは言い難い。第1回の次官級協議は3月に行われたが、
日本側は「もっと早くやりたかった」(外務省幹部)のが実情だ。
5月に予定していた北方領土への官民調査団派遣も6月にずれ込み、
9月の首脳会談に向けた交渉のスケジュールは窮屈になっている。
8月下旬の開催が決まった第2回次官級協議も、長い夏休みを取りたがる露政府関係者に
対し、日本側が「こちらは夏休み返上でもいい」(日露交渉筋)と粘った結果、
日程調整に応じさせた。首相とプーチン氏の会談で日露交渉に積極的とはいえない
露政府担当者を動かす構図は変わらない。
会談に同席した野上浩太郎官房副長官は
「両首脳は強い信頼関係の下で交渉を行っている」と語ったが、
首脳間の信頼だけで領土交渉が前に進むとはかぎらない。
会談では、露メディアが報じたクリール諸島(千島列島と北方領土)南部の経済特区指定も
議題となった。
日露外交筋によると、
首相は「わが国の法的立場を害さないことが大前提」との立場を伝えたといい、
安倍、プーチン両氏の間でも神経戦は続いている。
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