【世界でおきていること】ロヒンギャ問題とは何か:民主化後のミャンマーで変わったこと、変わらないこと

第1に、軍隊の影響力の大きさです。
現在の憲法は、2011年の体制転換の直前に、軍事政権が
自らの力を温存させることを念頭に作ったものです。
その結果、議席の四分の一は軍人に割り当てられるなど、
軍の意向が通りやすい状態にあります。
政治の実権を手放した軍からすると、これまでの
経緯から決して友好的といえないNLD政権に対して、
自らの存在感を保つ必要があります。

さらに、ミャンマーでは5,141万人の人口に対して、
兵士の数は約40万人にのぼります。
人口に対して約0.8パーセントというその比率は、
やはり軍の影響力が大きい米国(0.4パーセント)や
中国(0.1パーセント)と比較しても高く、
軍に雇用される人間の数が多いことは、
その発言力の大きさを象徴します。

一言でいえば、シビリアンコントロールが
「絵に描いた餅」になりやすいミャンマーで、
軍を無理に抑えることは、スー・チー氏にとって、
かなり大きな国内政治上のリスクがあるのです。

第2に、国内世論です。
民主化によってミャンマーでは言論の自由が保障
されましたが、それにともない、以前よりも少数民族の
排斥を叫ぶ声、つまりヘイトスピーチも出やすくなりました。

先述のように、植民地時代からの因縁から、個人差が
あるにせよ、ビルマ人の間には少数民族への反感があります。
そして、民主的な政府ほど、内容の善し悪しにかかわらず、
有権者の要望から無縁ではいられません。
ミャンマー政府は2016年5月にヘイトスピーチを規制する
法律を成立させ、ロヒンギャ排斥運動の中心にいる仏教僧の
活動家らに警告を発していますが、これを積極的に
取り締まる様子はみられません。

次ページに続きます。

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