「着いたよ」
外を見るとそこは確かにネカフェの前だった。
「ありがとうございます」
メーターは回ってなかった。
運転手は初乗り料金を告げ俺は払った。
このまま降りようかと思ったが
やっぱり気になってなぜしゃがませたのか、
そもそも最初の合図は何だったのかを訊いた。
「いたんだよ、あそこに」
「え、どこですか?」
「林を通っただろ?
あそこな、時々おかしな奴らが
待ち伏せしてるんだよ」
「待ち伏せ……」
「通りかかった奴をナグってボコボコにして
身ぐるみはいでレ*プして、もう何人も
被害に遭ってる。男も女も」
「ええ?!何ですか、それ。警察は?」
「捜査してるはずだが、一向に捕まらない。
暗くて目撃者もいないせいか、他に何か
あるのか。何にせよ地元の人間は夜は
決して徒歩や自転車で通ったりしない」
「とにかくそれで合図を?」
「もう林まで近かったから、
あからさまに停まったらバレる。
獲物を奪ったと追っかけてこられたら
面倒だからな」
「しゃがんだのも僕を乗せてることを
隠すためだったんですね」
「ああ。じゃもう帰るから」
「あっ、最後に一つだけ。
なぜ今夜いると判ったんですか?」
「血がね。
ライトで見えたんだ。まだ乾いてなかった」
怖かった