4つの返納理由とはなにか。
それは、
(1)平昌五輪前に外国人観光客、特に
中国人観光客が米軍の最新鋭迎撃
システム
「高高度防衛ミサイル(THAAD)」
の韓国配備をめぐって猛反発した
ことで激減している実態がある
(2)韓国国民の平昌五輪に対する
無関心が深刻でチケット販売が不振
(3)北朝鮮による核・弾道ミサイル開発
に伴って朝鮮半島情勢が緊迫化し、
安全に対して各国に不安が生じ、
不参加の事態が生じる
(4)無分別な投資と競技場の事後活用
計画の未確定で膨大な負債が生じる
公算が大きいことだ。
実際、韓国の観光産業を支えている中国
の観光客は、THAADの韓国配備を
めぐって中国が猛反発したことで激減。
今年1~9月に韓国を訪れた中国人
観光客は319万人で、前年同期の
633万人からほぼ半減した。
THAADによる今年の経済的損失は
8兆5000億ウォン(約8500億円)
に達すると試算され、シンクタンクの
現代経済研究院は名目国内総生産
(GDP)の0.5%に相当すると指摘
した。
さらに、韓国国民の五輪への関心が
盛り上がっていない実態がある。
韓国のスポーツ行政を統括する文化
体育観光省が今年4回にわたって
実施した世論調査では、9月の最新
結果で66.6%が五輪成功を
予測したが、競技場で五輪種目を
直接観戦すると答えた国民は
7.1%しかなく、調査の回を
追うごとに低下している。
この影響でチケット販売率も総販売
目標枚数(107万枚)の31.8%
にとどまっている。来年3月に引き続き
開催されるパラリンピックに至っては
4.3%(10月30日時点)に過ぎない。
朴槿恵前大統領の逮捕にまで発展した、
親友の崔順実被告の親族が平昌五輪を
通じて巨大な利権を得ようとした疑惑が
生じたことで、韓国国民の中には平昌五輪
と聞くと崔順実被告を思い出し、興ざめ
してしまう情勢が根強く続いている。
平昌五輪が国内的に盛り上がりを欠く中、
北朝鮮による核・弾道ミサイル開発に
よって朝鮮半島が緊迫化し、北朝鮮国境
から約80キロしか離れていない平昌五輪
の開催地が安全なのかの不安が増大して
いる。
オーストリア・オリンピック委員会が
「選手団の安全が保障されなければ、
韓国には行かないだろう」
と明言。
フランスやドイツが追随の動きを見せた。
次ページへ続きます