--韓日慰安婦合意をめぐる文在寅政権の新しい方針を評価してほしい。
「苦心の末に出てきた結論だった。
問題は内容だが、矛盾があまり
にも多い。破棄や再交渉要求は
しないと述べながらも問題は解決
しないという矛盾したものが併記
されている。何よりも10億円の
処理だ。
被害当事者の名誉と尊厳
を回復し、心の傷を癒やすという
意味で設立された財団だ。合意の
軸といえるほど重要な要素だ。
これを韓国政府の予算で充当して
日本と使い道を協議するというのは
合意自体に手をつけるということだ。
日本政府としては受け入れがたく
なるしかない」
--韓国が取るべき立場は。
「慰安婦問題を朴槿恵政権を否定する
積弊清算の流れの中で処理するのは、
この問題を平行線に向かわせる。
結果的に被害当事者が放置されて
しまう事態にならないか懸念される。
ろうそく集会の民心が誕生させた
政権だが、その民心が政権の足かせ
になれば、文大統領がしようとする
外交政策をできなくなる危険がある」
--両国の国民はどういう姿勢を持つべきだろうか。
「政府の関係が難しい時であるほど、
地方自治体間の交流や学生の交流など
草の根レベルの交流がさらに活発に
ならなければいけない。国民感情が
悪化したからといって、すべての面で
関係が停滞するのは避けるべきだ。
『ツートラック』
戦略は両国ともに必要だ。
日韓関係のフレームを強め、できる
ことはしなければいけない」
--対北朝鮮での連携も重要な課題だ。
「北朝鮮の脅威だけが日韓関係を
支える逆説的な状況となっている。
北朝鮮は『わが民族同士』を強調し、
韓国内の世論と周辺国を刺激している。
これに振り回されてはいけない。
北朝鮮問題はもう韓国だけの問題
ではない。核・ミサイル問題がある
ため、国際問題としての意味の方が
大きい。日本・米国・中国・ロシア
も北朝鮮問題の当事者だ。韓国が
北朝鮮問題に格別に熱意を持つのは
当然だが、
関連国との緊密な連携の
下で管理しなければいけない。日韓
関係を冷戦時代のように安易に見て
はいけない。日韓関係が崩れるという
のは日米韓協力構図が崩れることでも
ある。日韓関係の重要性は多面的に
評価する必要がある」
次ページへ続きます