主人公は優先席に初めから座っていた
30前後のスーツにニット帽をかぶった
サラリーマン風の痩せた男。
老人たちは優先席に座っている若いのが
気に入らなかったらしく、
そのうち
「ここは老人の席だよねー」
みたいなことを言い始めた。
すると、男は帽子を取ってスカスカになった
髪の毛を見せて、
「ガンの治療で病院帰りの俺より長生きしそうな
お前らに席譲れってか?」
続けて、
「それに、ここはお前らの家じゃねーよ。
さっきから大声でうるせぇんだ。マナーくらい守れ!」
と言って席をたった。
それを見ていた斜向かいの若い女の子がその男に
席を譲った。
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