【いい話】姪「私のこと嫌いになったの?お父さんもお母さんも誰もいなくなったのに…おじさんまでいなくなったら一人ぼっちになっちゃう…そんなの嫌だ…」 俺「………おじさんと一緒に住むか?」

勢いでメイを引き取る決心をした、はいいが状況は全くよくない。
最重要の金銭は先に言った通りなんとかなるが、まずは住むところ。
6畳一間のボロアパート住まいで二人で暮らせるようなトコではない。

そしてメイはあとひと月で中学生になる、できればそれまでに新生活を始めさせてやりたいが時間がない。もうバタバタだった。
そんな時に社長という名の救いの神はいた。

再就職や身元保証人になってもらったりと何かと世話になっているK社長。
今回のことも相談すると、翌日には新居を紹介してくれた。

社長の知り合いの不動産屋に探させたらしい。
2DKの文化住宅、しかも社長宅のすぐ近く。

「なにかあったら俺(社長)の嫁さんにメイのことを頼め、お前だけでできることなんかたいしてないからな」

K社長は当時48歳、無駄に男気あふれるいかにも現場の親方。
奥さんと22歳と18歳の娘さんがいた。
社長は俺の事情を以前から知っていたが、奥さんたちにはこの時初めて説明した。
みんな泣いてくれた、その後でなんでもっと早く言わなかったの!って奥さんに怒られた。

俺はもうほんとに社長家族には感謝しかなかった。

そこからは本当にどたばたで書類がどうじゃの役所がこうじゃのと、ややこしい話のオンパレードだった。
そして入学式には間に合わなかったが、4月中旬から新生活が始まった。

まあ、最初の内は本当にぎこちない生活だったと思う。
お互いにへんな遠慮というか、距離感がつかめないというか。
それでもメイが笑って、学校の話をしたり、社長娘と遊びに行ったりしたことを楽しそうに話すのを見て、本当にこうしてよかったと思った。

同居を始めてしばらくしたある夜、メイが寝ている部屋で悲鳴が聞こえた。
部屋に行くと震えながら泣いているメイがいた。

落ち着くのを待って話を聞くと、あの事故のことを夢で見たらしい。
事故の瞬間のことはショックや気を失っていたことで憶えていないが、唯一憶えていることが救出直後の母親と話したことだった。

血まみれの母親がメイを呼び、「よかった、よかった、メイが無事で、よかった、お父さんは?」
メイはよくわからないまま答えた。
「お父さん元気だよ、大丈夫だよ、お母さん、お母さん!」
ただ、もうそれに母親は答えず意識を失い、メイもそういう会話をしたことだけしか憶えていないそうだ。

その場面を夢に見た、しかもこれまでも月に2~3回は見てどうしようもなくこわいらしい。

俺の腕にしがみついて、泣きながらその話をしてくれた。
話を聞きながら、何もしてやれないことがどうしようもなくつらかった。
その日はメイが落ち着いたあと、ぐっすり眠るまでとなりいてやることしかできなかった。
どう考えたってトラウマになるよな。

その後も、たまに同じようなことがあり俺がメイの部屋でそばにいてやったり、逆にメイが俺の寝ている横に来て丸くなってることもあった。
少なくとも、そうすることで安心できてたのなら良かったと思う。

よし、あとは悲劇惨劇ツライサミシイはないぞ。

社長家族にはもう世話になりまくりだった。
奥さんには食事の世話をしてもらったり、メイに家事を教えてもらったり、二人の娘さんには妹同然に可愛がってもらってよく一緒に遊び行ったりしてた。

中1の時の体育祭、平日だってのに俺はむりやり有給取らされてなぜか社長一家とメイの応援に行くなんて一言もいってなかったから無茶苦茶びっくりしてたな。

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