1945年8月、60万人近くの日本関東軍はソ連軍に負け、
捕虜となった。
そのうち、大半はシベリアに送られ、労働力にされた。
寒さ、飢え、病気に耐えきり、日本に帰還できた捕虜は
半分ぐらいだった。
そのうちの一人に松本さんという人がいた。
松本さんは関東軍に所属していた将官だった。
ソ連軍から攻撃された途端、彼の部隊は抵抗せずにすぐ降伏した。
そこで、ソ連軍の捕虜になれば日本人はひどい目に遭うだろうと
松本さんは本能的に察知した。
そう感じた彼は、シベリアへ送られる途中に、伊藤という
もう一人の兵士と一緒に逃げ出した。
日本人の武士道は有名で、戦争に負けたら自殺するのがほとんどで、
逃げる人はほとんどいない。ではなぜ松本さんが逃げたのだろうか。
松本さんはこのように語っている。
次ページに続きます。