【世界でおきていること】ロヒンギャ問題とは何か:民主化後のミャンマーで変わったこと、変わらないこと

ロヒンギャとは誰か

ロヒンギャとは、バングラデシュとの国境
ラカイン州の北西部に主に居住する
ムスリムの総称です。
その語源は、この地にあった仏教王朝の
アラカン王国(1430~1785)の王都ロハンに
由来するといわれ、当時から仏教徒に
混じってムスリムが暮らしていたことは
確認されていますが、彼らが自らの呼称として

「ロヒンギャ」

を名乗り始めたのは、ビルマが独立して
間もない1950年とみられています。
逆に言うと、それ以前、この地で暮らす
ムスリムは、公式には「名なし」だったと
いえます。

この地のムスリムが、いわば「最近」になって
自らの呼称を定めたのは、ビルマ
(1988年にクーデタで権力を奪取した
軍事政権は「ミャンマー」に国名を変更した)
という国家が成立したことと無関係ではありません。

「一つの国家が一つの国民で構成される」
という観念は、近代西欧で生まれました。
それ以前の世界では、ローマ帝国や中国の歴代
王朝がそうであったように、異なる宗派や民族が
一つの政治的権威のもとに統べられることが一般的で、
イスラーム圏や東南アジアも、その例外では
ありませんでした。

「帝国」の語には抑圧的なイメージがありますが、
異なる属性の者を排除する傾向は、むしろ
「一つの国民」イメージを強要する近代国家の方が
強いのです。

実際、ヨーロッパにおけるユダヤ人迫害は、
キリスト教が絶対的な影響力を持っていた中世より、
「国民の一体性」を前提とする近代になって、
激しくなりました。

次ページに続きます。

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