中国(清朝)がアヘン戦争に敗れた
1842年以降の歳月は、中国が歴史上
最も弱かった期間であり、日本が
一貫して優位に立つ特異な状況が
続いた。
しかし今後は、大陸中国こそが
超大国で、日本は周辺に位置する
中等国という1,000年来の力学が
復活するだろう。
……地理的制約からは逃れられない。
中国は地理的大国で、この30年で
人類史上最も目覚ましい発展を遂げ、
日本を昔ながらの中規模島国に押し戻した。
なかなか薀蓄深い一文で、第1に、
中国が地域の超大国であって日本は
その周辺にある中等国であるというのが、
1,000年来の東アジアの「常態」であり、
従って第2に、日本が優位に立ったのは
中国がアヘン戦争に敗れて衰退した
1842年以降の175年間だけで、それは
長い歴史から見てほんの一時の「特異」
な状況だった。
そして第3に、最近の30年間を通じて
その特異は解消されて常態が戻りつつ
ある、というのである。
■東アジア史の真実
日本こそアジアの中で飛び抜けた優等
民族であり、だからこそ独りアジアを
尻目に先進国となって欧米に伍して
列強の仲間入りをしたのだという
脱亜論に取り憑かれている日本人に
とっては、到底受け入れがたい世界史観、
アジア観かもしれないが、本誌の古い
読者ならご存じのように、私はもう10年
以上も前からこの説をとってきた。
今までに何度も紹介したマディソンの
世界主要国パワーバランス変遷図を
もう一度お目にかけよう。
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