紀元1年以降1000年頃までは、第1位の
インドと第2位の中国とで世界GDPの
何と83~84%ほどを占めている。
明から清にかけての中国は東アジア自由
交易圏の中心をなす基軸通貨国として
大いに繁栄し、インドを抜いて世界
ナンバーワンに躍り出るが、
その富を狙って英国はじめ西欧が東インド
会社を出城にしてマラッカからマカオ・
香港へと進出して何もかも奪い尽くし、
ついにはアヘン戦争まで仕掛けて中国を
滅亡に追い込む。
中国がどん底まで墜ちたのは1949年の
人民共和国建国でようやく日本の侵略と
蒋介石との内戦という地獄の苦しみから
抜け出した1950年頃のことで、
逆にその時に米国はピークを迎えている。
日本は、アヘン戦争で敗れた中国を蔑視して
そこから対中優越意識を芽生えさせてきたのは
事実であるけれども、実体的に経済体力が
中国を上回ったのは、1960年代から2000年代
までの約50年間だけである。
習近平の謳い文句は「偉大なる中国の復活」で、
それを聞くと多くの日本人は、
「何を生意気なことを言ってるんだ、
どうしようもない遅れた発展途上国のくせに」
とせせら笑うのだけれども、カールの言い方では
「1,000年来の力学」、
マディソンの図で言えば2,000年──しかし
この図はさらに左側に紀元前1500~2500年の
夏や殷の黄河文明やインダス文明にまで遡る
こともできるので4,000年──のアジア史の
「常態」は、疑いもなく中国が中心国で日本は
周辺国、中国が大国で日本は中等国
(ミドルパワー)なのである。
これが東アジア史の日本にとってのまことに
不都合な真実である。
人口減少という抗い難いトレンドなぜ日本は
中等国に戻って行くのか。
答えはシンプルで、人口減少のせいである。
日本は縮みゆく大国だ。……日本の出生率は
世界最低レベルで、この傾向が続けば65年まで
の人口減少率は未曾有の31%。
人口は現在の約1億2,700万人から8,800万人に
落ち込み、65歳以上が4割を占める超高齢化
社会となる。
生産年齢人口は約5,000万人と推定されるが、
これは100年前の水準だ。対照的に中国と
インドの人口はどちらも10億を優に超え、
アメリカも4億人程度まで増える。
(カール)
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