「お国はどこですか?
どちらからいらっしゃったんです?」
すると年長の女性が、
とても流暢な日本語だが、
予想に反して
そっけなく
「…お兄さん知らないよ。
小さな国。貧乏な国」
とこちらの顔も見ずにぼそりと言った。
冷たいリアクションに
ちょっと傷ついた反動もあり、
いくらなんでも知らないわけがないだろ、
と思い、重ねて問うと、ちいさく一言
「……ミャンマー」
もらったー!
という気分で
「ああミャンマーね、
いまアウンサンスーチーさんで話題の」
と答えたら、
四人が一斉にこちらを見た。
心なしか明るい顔をしている。
オレは嬉しくなって、
乏しいミャンマー知識を ふりしぼって
しゃべりまくった。
「アウンサンスーチーさんのお父上
アウンサン将軍は実に立派な方でした!」
「ミャンマーは古い名前を捨て去って、
自分たちの名前を手に入れた。
すばらしい!」
「イギリスには注意しなければならない。
ミャンマーには地下資源があるから」
「民主主義は慎重に導入しないと、
国民自身が国民を傷つけることになる」
などなど。
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