20代前半の頃の話。
子供の頃から車に興味があった
私は就職してからレトロな外車を
買った。
ある休日 買い物を終えてお店の
駐車場で携帯をいじっていると、
隣のスペースに年代物の高級外車が
入って来た。
「へー、珍しい車だなぁ」
と思いつつすぐまた携帯に目を
落としたのだが、暫くすると
助手席の窓をコンコンと叩く音が。
ふと見るとそこにはチェックの
スーツにウールのコートを羽織り、
ハットとサングラスを装備した
男性がいてこちらを覗き込んでいた。
彼の風貌はGメン’75の丹波哲郎を
想像して頂ければと思います。
え、誰だっけ?知り合い?
いや、高級外車に乗った丹波哲郎
など知り合いにはいない。
混乱して固まっていると哲郎は
助手席のドアを開け
(パワーウィンドウとかないから
そうしないと話せない)
「いや〜若いお嬢さんがこんな車に
乗っているのを見てビックリしたよ。
しかしいい車だね、少し見せて
もらってもいいかな?」
と言う。
別に眺めるくらいは構わないので
「どうぞ」
と言うと助手席に乗り込む哲郎。
見るって中を見るの?!
突如知らない男性に車に
乗り込まれてしまい困惑する私。
怖い人だと困るのでとにかく
刺激しないように平静を装い
哲郎に聞かれるまま車を買った
経緯などを話した。
(ちなみにサングラスを外した
哲郎は60代くらいの老人でした)
しばらく話した所で哲郎が
「近くに美味しいケーキ屋があるんだよ、
この車でドライブしよう!」
と言い出した。
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