「私のこと抱きたい?」 「残念でしたーこれ見てくださーい!」 上半身裸になった嫁の体は傷痕だらけだった




帰ってから大変だった。

俺と嫁が出張に行ってたのはみんな知ってる。

その俺は頬に痣作ってて、嫁は無理して明るく

振る舞ってるのが見え見え。

課長から何があったか聞かれて、

「泥酔した嫁をおぶって帰ったら酔った勢いで殴られた、

 断じて手は出してない」と伝えたけど、

当然誰も信じない。

俺が嫌われてる腹いせに襲おうとして殴られて嫁は

心に傷を負ったってストーリーの方が、

どう考えても面白いしわかりやすい。

昼休みにもならないうちからそんな噂が出回るようになって、

あまり拡散するようなら訴えるかー、

でも仕事にならなくなったらその前に辞職しなきゃ

ならんかなーとか考えてたら、

今度はなんと取締役の父親から呼び出された。

これ本格的にやべえ、立ち回りしくじったら最悪懲戒免職だと

内心震えながら役員室行ったら

なぜか事情聴取も叱責もなく、仕事が終わったら

食事に付き合えとのお誘い。

で、仕事あがりにちょっとお高い店の個室に呼ばれて

差し向かいになって、ちょっとした世間話や近況報告を

してから話を切り出された。

取「娘から話は聞いた。事情はわかってるから君を咎める

  つもりは一切ない」

俺「ありがとうございます」

取「ただ、気になることがいくつかあったからこうして呼んだ。

  娘の傷のことは誰にも言ってないな?」

俺「はい、言ってません」

取「何故だ?」

俺「何故と言われましても、人に言いふらす事でもないですし、

  言いふらす相手もおりませんし」

取「どうしてあんな体になったのか気にならないのか?」

俺「興味ないです」

取「え?ない、のか?」

俺「全くないわけじゃないですけど、敢えて聞きたいものでも」

取「…本心か?」

俺「?はい」

取締役はそうかとだけ返して、そこで話は終了。

デザートまで飯食ってからそのまま解散した。

ただ別れ際に

「あの子のことを悪く思わんでくれ」

と思い詰めたような顔で言われた。

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